タイでビジネスを展開するウェブ担当者にとって、Googleコアアップデートは避けては通れない大きな変動期です。

特に多言語が入り交じり、独自の検索文化を持つタイ市場では、日本国内とは異なる視点での分析が求められます。

本記事では、コアアップデートの本質を理解し、タイでのSEO成果を維持・改善するための具体的な指針を解説します。

Googleコアアップデートとは?(まずは定義をシンプルに)

Googleコアアップデートとは、検索アルゴリズムの基幹部分を大規模に見直す更新のことです。

これは特定のウェブサイトを狙い撃ちにするものではなく、検索結果全体の品質を向上させるための基準変更を意味します。

コアアップデート=検索評価の“大型調整”

このアップデートは、特定の業界やサイトだけを狙い撃ちにするものではありません。検索結果における「良さの基準」そのものが変化するため、昨日まで評価されていたページが、今日からは別の基準で評価されるようになります。これは検索ユーザーにとってより価値のある情報を届けるための全体的な底上げであり、インターネット上の情報の信頼性を再定義する作業でもあります。

ペナルティ・手動対策との違い

コアアップデートはアルゴリズムによる自動的な評価の変化であり、Googleのガイドライン違反に対する「手動対策(ペナルティ)」とは明確に異なります。手動対策は不正な被リンクやコピーコンテンツといった明確な違反に対する措置ですが、コアアップデートでの下落は、他により良いサイトが現れたことによる相対的な順位低下を指すことが多いです。ここを混同して不適切な修正を行うと、かえってサイトの評価を下げてしまうため注意が必要です。

コアアップデートの影響を最小化するには、単発のテクニックではなく“土台からの設計”が必要です。タイSEOの全体像は 対策15選まとめ に整理しています。

なぜ“タイでSEOをする人”ほどコアアプデを気にすべきか

タイのデジタル市場は、デバイスの使用環境やユーザーの行動特性が日本とは大きく異なります。そのため、コアアップデートの影響もタイ特有の現れ方をすることがあります。

タイは検索ニーズが日本と違う

タイの検索ユーザーは、緻密な文章解説よりも「最新の価格情報」や「実際の利用者のレビュー」、そして「地図でのアクセスのしやすさ」を極めて重視する傾向にあります。また、FacebookやLINEといったSNSからの流入が強力であるため、検索エンジンもそれらのプラットフォームとの親和性や情報の鮮度を評価に含めることがあります。日本で成功したSEOの型をそのまま適用しても、タイでは通用しない可能性があるのです。

多言語・多地域で評価が分岐しやすい

タイではタイ語、英語、日本語のページが混在するサイトも珍しくありません。アップデートの際には、タイ語ページは評価を維持しているのに、英語ページだけが大きく下落するといった評価の分岐が起こり得ます。特にタイ人向け、英語圏の観光客向け、日本人駐在員向けとターゲットが分かれている場合、それぞれの検索意図に合致しているかが厳密に問われます。

ローカル検索(Map)と通常検索が絡む

レストランや美容クリニック、不動産といった業種では、Googleマップの検索結果が通常のウェブ検索結果に強く連動します。コアアップデートの影響で「ウェブサイトの順位は落ちたが、マップの順位は維持されている」あるいはその逆といった現象が起き、集客の導線が複雑に変化します。ローカルビジネスを展開している場合、通常検索のみを追っていては現状を見誤ることになります。

コアアップデートの影響で起きる典型パターン(症状チェック)

アップデート後に発生する変化には、いくつかの典型的なパターンがあります。自社のサイトがどの状況にあるかを正確に把握することが、回復への第一歩となります。

順位が落ちるパターン

まず、コラム記事は順位を維持しているが商品一覧ページだけが大きく順位を下げるなど、特定のカテゴリで顕著な下落が見られることがあります。また、内容の薄いページが多く存在する場合、それらがターゲットにしていたロングテールキーワードが検索結果から一掃されることも珍しくありません。さらに、同様のテーマを扱う競合サイトがより充実した情報を発信し始めたことで、相対的に順位を奪われ、上位が入れ替わる現象も頻発します。

順位が上がるパターン

一方で、現地でしか得られない一次情報や体験談を豊富に掲載しているサイトは、アップデートを機に順位を上げることがよくあります。特に、タイ現地のサービスに関する比較情報や詳細なレビュー、よくある質問(FAQ)がユーザー視点で丁寧にまとめられているページは、Googleからの評価が高まりやすい傾向にあります。

アクセスは落ちたのにCVは変わらない(むしろ改善)

全体のアクセス数が減少しても、問い合わせや予約といったコンバージョン数(CV)が変わらない、あるいは改善されるケースがあります。これは、Googleのアルゴリズムが「成約に繋がりにくい質の低い流入」を削り、より関連性の高いユーザーに絞って表示しているポジティブな結果と言えます。タイのSEOにおいては、PVの増減だけでなくLINEや電話への誘導が維持されているかを重視すべきです。

タイSEOで順位が落ちた時に、まず確認すべきこと(チェックリスト)

順位の下落を確認した際、闇雲に修正を始めるのは危険です。まずは冷静にデータを確認し、影響の範囲を特定してください。

①落ちたのは「国」か「言語」か

まず、タイ国内からの検索結果で落ちているのか、それとも世界的に順位を落としているのかを切り分けます。同時に、タイ語ページのみが影響を受けているのか、それとも英語や日本語のページも含めて一律に評価が下がったのかを確認することで、地域特有のアルゴリズム調整なのかサイト全体の品質問題なのかを推測できます。

②落ちたのは「ページ群」か「サイト全体」か

特定のURL単位で順位が落ちているのであれば、そのページの内容が古くなっているか、競合に比べて情報量が不足している可能性が高いです。一方で、サイト全体の順位が底上げされるように下がっている場合は、サイトの信頼性(E-E-A-T)や構造上の欠陥、あるいはコンテンツの重複といった全体的な品質に問題があると考えられます。

③Search Consoleで見るべきポイント

Google Search Consoleを使用し、クリック数や表示回数、平均掲載順位をクエリ別およびページ別に確認します。特にディレクトリごとにデータを集計し、どのカテゴリが下落の要因となっているかを特定してください。また、インデックスの登録状況やクロールエラーがアップデートと同時期に発生していないかも重要な確認項目です。

④GA4で見るべきポイント

Googleアナリティクス4では、自然検索(Organic Search)の流入だけが落ちているのかを確認します。あわせて、ユーザーの入口となるランディングページがどのように変化したかを分析してください。タイはモバイルからの利用率が非常に高いため、デバイス別にデータを切り分け、特定のデバイス環境でのみユーザー体験が損なわれていないかをチェックすることも欠かせません。

コアアップデートに強いサイトがやっていること(タイ向け実務)

アップデートの影響を受けにくく、長期的に評価されるサイトには共通の取り組みがあります。これらはタイという地域性を意識したものであることが特徴です。

一次情報(現地性)の強化

Googleが近年最も重視しているのが、他にはない独自の一次情報です。タイ現地のオリジナルの写真、独自の地図、実際に足を運んで確認した最新の料金や営業時間などは、AIには生成できない価値を持ちます。また、日本語を直訳した文章ではなく、現地のタイ人が日常的に使用する自然な言い回しや現地のトレンドを反映した表現を取り入れることも、評価を高める要因となります。

検索意図ど真ん中のコンテンツ設計

タイのユーザーは「知りたい情報に最短で到達すること」を好みます。そのため、価格設定、所在地、営業時間、予約の可否といった最重要情報をページの上部に配置するなどの設計が必要です。記事を読ませるだけでなく、その後のアクションとしてLINEでの問い合わせや予約フォームへスムーズに誘導できる構成は、ユーザーの満足度を高め、結果としてSEOにも好影響を与えます。

E-E-A-Tを“タイ版で”整える

専門性、権威性、信頼性、そして経験という「E-E-A-T」を、タイの文脈で具体化することが重要です。サイト運営者のプロフィールを明記し、タイでの実績や現地情報の更新日を明確に示すことで信頼を構築します。特に医療、投資、法律といったYMYL領域では、専門家による監修や信頼できる現地情報の引用が不可欠となります。

薄い量産記事を減らし、ページを統合する

似たようなテーマの記事を大量に量産する手法は、現在では逆効果になることが多いです。テーマが分散している場合は、それらを一つの高品質なページに統合し、内容を最新の状態にリライトしてください。情報が整理された厚みのあるページは、複数のキーワードで上位を獲得しやすくなり、サイト全体の評価を押し上げます。

内部リンクとカテゴリ設計の見直し

サイト内の情報のつながりを整理することも重要です。タイ語、英語、日本語の各セクションが論理的なカテゴリ構造になっているかを確認し、パンくずリストや関連リンクを適切に設置してください。ユーザーとGoogleのクローラーがサイト内の重要なページに迷わず到達できるような導線を強化することで、アップデート時の耐性が高まります。

やってはいけないNG対応(順位下落時に悪化しやすい)

順位が落ちて焦っている時に、誤った判断をすると状況はさらに悪化します。以下の対応は避けるべきです。

①被リンク購入・スパム増量

順位を戻そうとして質の低い外部リンクを購入したり、不自然なリンク構築を加速させたりする行為は、スパム対策アルゴリズムに検知されるリスクを伴います。一時的な回復すら望めないだけでなく、サイトそのものが検索結果から完全に排除される原因にもなりかねません。

②タイトルだけ変えまくる(中身が変わらない)

クリック率を高めるためにタイトルを頻繁に変更しても、肝心のページ内容がユーザーの検索意図を満たしていなければ順位は戻りません。表面的な修正を繰り返すことは、Googleからの不信感を招くだけでなく、正しい検証も困難にします。

③更新日だけ新しくする

本文に実質的な追加や修正がないにもかかわらず、システム上で更新日だけを最新に書き換える手法も避けるべきです。情報の鮮度を偽る行為は、ユーザーに誤解を与えるだけでなく、長期的なドメインの信頼性を損なう要因となります。

④短期間で大量の修正を同時に入れる

複数のページに対して全く異なる修正を同時に短期間で行うと、どの変更が順位に影響を与えたのかが分からなくなります。改善は優先順位の高いページから順次行い、一定期間の計測を経て次のステップへ進むのが運用の鉄則です。

コアアップデート対策の“現実的な運用手順”(タイSEO向け)

アップデートへの対応は、中長期的な視点で行う必要があります。ここでは具体的なステップを紹介します。

ステップ1:影響範囲を特定する(7日以内)

アップデート開始から約1週間は、データが安定するのを待ちながら影響範囲を特定することに専念します。どのクエリが落ちたのか、どのページ群が下がったのか、特定の国や言語に偏りはないかといった事実のみを正確に整理します。

ステップ2:勝っている競合を分析する(14日以内)

自社の順位が下がった際、代わりに上位へ上がってきたサイトを徹底的に分析します。彼らがどのような情報(FAQ、料金表、比較表、レビューなど)を追加したのか、どのような見せ方をしているのかを調査し、自社に欠けている「今の基準」を浮き彫りにします。

ステップ3:改善優先度を決める(1〜2ヶ月)

すべてのページを一度に直すことは不可能です。売上に直結する重要ページや、あと少しで上位に返り咲けそうなページから優先的に着手します。また、価値を生まなくなった低品質なページの削除や統合も、この時期に検討します。

ステップ4:改善→計測→横展開(継続)

リライトを行ったページについては、その後の順位やクリック率の変化を注視します。そこで得られた「勝ちパターン」を他のページにも適用し、サイト全体の品質を段階的に引き上げていくサイクルを確立してください。

よくある質問(FAQ)

コアアップデートに関して、現場でよく寄せられる質問にお答えします。

Q:コアアップデートはいつ来る?
Googleは通常、年に数回のアップデートを事前、あるいは開始と同時に告知します。不定期ではありますが、業界内のニュースやGoogleの公式発表を注視しておくことが大切です。

Q:順位が落ちたらすぐ戻る?
内容を大幅に改善したとしても、即座に順位が戻るとは限りません。次回のアップデート時や、Googleがサイトを再評価するサイクルの中で段階的に回復していくのが一般的です。

Q:タイ語ができないとSEOは無理?
戦略立案は可能ですが、実際のコンテンツ作成やキーワードの細かなニュアンスの確認には、ネイティブのチェックが不可欠です。現地の文化を理解した上で言葉を扱う必要があります。

Q:英語ページとタイ語ページどっちが強い?
タイ国内のユーザーをターゲットにするならタイ語ページが圧倒的に有利です。ただし、観光業やB2Bなど英語での検索が多い分野では、英語ページの強化が大きな武器になります。

Q:SNS(TikTok/FB)とSEOは関係ある?
SNSでの拡散自体が直接順位を上げるわけではありませんが、SNSで話題になることでサイトの名前が検索されたり、自然なリンクが貼られたりすることは、サイトの信頼性を高める上で非常に有益です。

【まとめ】日々のデータチェックを忘れずに

Googleコアアップデートは、ウェブサイトの価値をユーザー視点で再評価するための重要なプロセスです。

順位の変動に一喜一憂して小手先のテクニックに走るのではなく、まずは冷静に原因を特定することが欠かせません。

タイのSEOで成功し続けるためには、現地の情報に根ざした「一次情報」、ユーザーの利便性を追求した「検索意図への合致」、そして誰が発信しているかを明確にする「信頼性」の3軸を常に意識する必要があります。

原因を特定し、競合を分析し、重要なページから一歩ずつ改善を積み重ねていくことこそが、最も確実なアップデート対策となります。

ABOUT ME
監修者:Yoshimitsu Tobisa(SEO Consultant)

直近の日本在住時は外資系スポーツブランドのマーケティング部に6年間所属。マレーシアで3年半Web広告関連業務を行った後、2022年4月から在ホーチミンの日系Web制作会社Vietryへ転職。2023年10月からはフリーのSEOコンサルタントとして活動。